あまのじゃくのきまぐれ

基本的には雑記と書評をやってます。

カサブタをはがし続けていたら手術することになった話

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カサブタって、ついつい剥がしたくなりませんか?

カサブタを剥がしたら、また傷の治りが悪くなることが分かってはいても、ぼくは剥がしたくなる誘惑に抗うことができません。カサブタをぺリぺリ剥がすのって、ちょっと蠱惑的な楽しみがあるんですよね。少しでもカサブタを剥がし始めてしまうと、中途半端にカサブタを残すのが許せなくなってしまって、完全に剥がし終えてしまうと後悔しはじめます。あんなに剥がすのを我慢していたのに、また一からのやり直しだ・・・みたいな感じで。でも、そんな罪悪感もカサブタ剥がしの魅力でもあって・・・

 

傷が早く治ることよりもカサブタを剥がすことに価値を置いていた残念なぼくも、2年前、ついにカサブタ神から引導を渡されることになりました。

 

カサブタを剥がし続けていたら、手術することになってしまったのです!!!!

きっとカサブタの怒りを買ったのでしょう。

「オレガキレイニナオシテヤロウトイウノニ、ナンテフソンナヤツナノダ」

ってな具合で・・・

バンプが「かさぶたぶたぶ」なんて、カサブタ賛歌を歌っておりますが、あんな呑気なものではありません。にしても、カサブタの力、マジ舐めてました…カサブタ神からの怒りの天罰です。

 

では、どのように天罰が下ったか経緯を説明していきましょう。

 

事件の発端

 

あれは無謀な就職活動をしていて、内定も全くもらえる気配もなくストレスをため込んでいた時期のことでした。大学受験時代もそうだったのですが、ぼくはストレスをため込みすぎると頭をむちゃくちゃにかきむしる悪癖があります。ストレスからなのか、爪で頭皮を傷つけたからなのか、ある日、お風呂あがりに頭にカサブタができていることに気が付きました。言うまでもなく、カサブタを爪でめくり上げます。すると、血行が良くなっていたのか、頭から血がドパドパと流れ落ちてくるではありませんか。

タオルで出血箇所を抑えながら、カサブタ剥がしただけでこんなに血が出るもんだっけ

と考えていました。顧みてみれば、異様なカサブタでした。

これが、事件の発端でした。

 
無意識のうちに・・・
 
この晩はなんとか出血も収まりましたが、カサブタは少しずつ巨大化。カサブタが巨大化すれば・・・ってな具合にどんどん悪循環にはまっていきます。何かストレスがあれば、常に頭をぼりぼりと弄っている状態になり、しまいには、寝ている最中にもカサブタを剥がしていたみたいで・・・枕が血まみれになってもいました
完全にホラーですよね。起きてみたら、枕が血に濡れているのです。無意識のうちでもカサブタを剥がす誘惑に抗えないなんて・・・
そんなにストレスが溜まっていたのでしょうかね
 
カサブタがデキモノにレベルアップ
 
 カサブタが巨大化していくうちに、気がつくことがありました。カサブタの上にカサブタが重なっている状態になっているのです。もう病院に行かなければどうしようもない状態にも関わらず、そこは生まれながらの無精者。就職活動を理由に、病院に行くことをしませんでした。そして、事態はどんどん重くなっていくのです。
カサブタのある箇所がなにやら弾力のあるデキモノにレベルアップしていることに気がついたときには、時すでに遅し。髪を洗い流した時、カサブタのある個所がなにやら赤く輝くグロテスクなモノに変わっているのを見つけたとき、身体から血の気が引いていくのが分かりました。それはまさしく、カサブタを剥がす欲望が生み出した悪魔であり、風船みたい頭皮にへばりついているのです。
もうここまで来たら、病院に駆け込むしかありません。
 
恐怖の液体窒素治療
 
まず、駆け込んだのは町医者です。
この時、最初にカサブタが生まれてから3か月。無駄にすくすく育て過ぎてしまいました。
町医者は顔をしかめて、「あ~、こりゃ大変なものつくったなあ」と手の打ちようもない感じ。大学病院への紹介状を書いてもらえたので、翌日は大学病院の皮膚科へ。
大学病院の先生は、若い女性の先生。ぼくの頭に取りついた悪魔をみたとき、ちょっと顔を凍らせているのが横眼に映りました。もしかしたら、悪性のデキモノの可能性もあると、不穏すぎる一言を残し、他の先生を二人応援を呼びます。
このうちの一人は、皮膚科全体の責任を受け持つ偉い先生で、すぐにぼくの悪魔の正体を見抜きました。
「こりゃあ、化膿性肉芽種だなあ」
どうやらカサブタを剥がしているうちに毛細血管が膨張し、グロテスクなデキモノになったようで、これを治すには、何回か液体窒素を吹きかけて血管を小さくしていくのが良い模様。
そういったわけで、液体窒素を化膿性肉芽種やらに目がけて噴射することになりました。もうこの時、ぼくの喉はカラカラです。液体窒素といえば、映画でも冷気で敵をカチンコチンにするので大活躍のアレです。ぜってえ、やばいやつだって!と思うぼくをよそに、若い女医さんには全く似合わないごっついスプレーを持ってきます。
「はあ、、はあ、、」とズボンを手汗びっしょりの手でぎゅっと掴むぼく。
「じゃあ、いきますよ~。動かないでくださいね~」と無慈悲な女医。
噴射。
 
痛いいいいっ・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!
ほげええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!
 
窒素は空気中に78%という高い割合で慣れ親しんでいる無害でぼんやりした友達みたいな存在ですが、液化するとー195.8℃の超低温になります。痛くないわけがない。というか、頭に吹きかけられて、なんで俺は生きてる?
 
そして、この治療、継続して行う治療。週に1回の恐怖の通院生活がはじまりをつげました。
 
そして・・・
 
治療から2か月後、ぼくは人生初の手術室に足を踏み入れました。びびりまくって、うつ伏せと仰向けに寝るのを間違えてしまいました。
痛みに耐え続ける治療のわりに、悪魔こと化膿性肉芽種はそれほど小さくならず、女医さんに手術による摘出をお願いしたのでした。
「頭に手術痕のこるよ?いいの?」
「・・・・・・はい」
 
手術のために床屋に行って、手術箇所まわりの髪の毛を剃ってもらうときも、いたたまれませんでした。床屋のおじさんには、本当に申し訳ない注文をしました。あんなに気味の悪いデキモノの周りの髪の毛を剃らせるなんて・・・
他の美容師さんもチラチラとぼくの頭を見ます。もう誰も見ないで・・・
 
手術は部分麻酔で行われるために、意識がある状態で、電気メスが頭皮を切り裂く音や脂の焼ける匂いを嗅ぐはめになります。血行が良すぎて頭から血がドパドパ出るらしく、焦る経験の浅い女医さんの声を聞きながら、情けなさのあまり、一人涙をこぼしているのでした・・・
 
終戦
 
手術後、悪魔の正体も精密検査で悪性腫瘍でないことが分かり、一安心しました。
悪魔祓いを終えたぼくは、ようやく頭のかたちが通常の状態に戻ったことに胸をなでおろしていました。
とはいえ、頭には手術痕が残っています。これからぼくは、カサブタを剥がしたカルマを背負って生きていくことになるのです。
 
教訓
 
カサブタをついつい剥がしてしまうひともいると思います。
そんなひとには声を大にして、やめておけと言いたいです。カサブタを剥がしたくて仕方がなくなってしまったら、絆創膏を貼るなり、ハンドスピナーで剥がしたくなるのをまぎらわすなりするべきでしょう。
ぼくのこのどうしようもない間抜けな話が、他のひとの教訓になりますように。